「都会のラクダ」とはSUPER BEAVERのボーカル、渋谷さんがビーバーの
これまでを記した本。
バンド結成からメジャーデビュー、メジャーからおちてインディーズバンドとして
全国行脚する悪戦苦闘の日々、そしてメジャー復活。その山あり谷ありの日々が
綴られた小説。
まずは渋谷さんの文才に拍手。
本格的な小説の文章。本当に素晴らしかった。ミュージシャンが書いたと思えない。
渋谷さんって多才だね。びっくりした。
文章が端的でリズムがあってすらすら読めた。さすが江戸っ子っていう感じの
歯切れのいい文章。小説ならではのユーモアもふんだんに盛り込まれていて、
ひとつの作品としてすごく面白かった。
てらうことなく、取り繕うことなく正直に自分を、バンドを語る渋谷さんの文章には
好感が持てた。
音楽への誠実さ。
仲間への誠実さ。
人への誠実さ。
生きることへの誠実さ。
それがこの本から私が感じ取った一番のこと。
ビーバーという音楽の原点が知れて良かった。ファンの必読書だと思う。
一人の人間の人生を深く知ることは、こんなにも面白いものなのかと思った。
私とは違う人生を生きた人の話。いろいろと勉強になった。
渋谷龍太さんが、懸命に限界まで生きた人生の記録。
「限界を生きる」
誰もがまねできることではない。
それだけで尊敬に値する。賞賛に値する。
だからこの本の帯にあった「普通の子たち」って表現がしっくりこない。
ぜんぜん普通じゃない。普通じゃできない闘いを戦い抜いた4人の勇者の物語
だと思う。奇跡のような4人だと思う。その才能も含めて。
私が帯を書くなら「勇敢なる4人の勇者の記録」って書きたい。
本当に面白かった。
渋谷さん、素晴らしい作品をありがとう!
一番印象に残ったのはメジャー期の話。
私もライブ活動してるとき、メジャー落ちした人に会ったことがあるし、メジャーはひどいという噂は何度も聞いたことがある。
日本ではある曲が売れると全く同じ曲調の同じような曲がいっぱい出てくる。
いわゆるフォロワーってやつ。
それが私は不思議だった。「なんでそんなにプライドないんだろう」って。
人のまねをして金儲けするなんて、大げさに言えば悪魔に魂を売るようなものだと思っていた。そのカラクリについて聞いたことがある。
「今売れてるあの曲と同じような曲をかけ」とメジャーの上の人が命令するのだという。
メジャーといういわば「夢の宝島」にやっとのことで、たどり着いた新人たちに向かって。
だれもせっかくたどり着いた宝島を離れたくはない。
きっと「一曲くらいなら」と大きな力にねじ伏せられるように、曲をかかされるのだろう。
理不尽極まりないって思う。この話はレコーディングスタジオで働いてるエンジニアの人から聞いた。
「メジャーってそんなにひどいのか」と驚いたことを覚えている。
でもそれよりもっとひどかった。ビーバーの経験したメジャーの話は壮絶だった。
こうやって才能ある人たちの芽がつまれていくのか、とちょっと愕然とした。
メジャーに行かなければ音源すらまともにつくれなかった時代。
同じような音楽ばかり流れて、フォロワーだらけでひどかったよね。
今はミュージシャンたちが自分で音源をつくって、それをネットで簡単にリリースできるようになった。自分たちで自由に音楽を発表できる場を手にしたことで、日本の音楽シーンはかなり変わったと思う。新しい音楽が、ユニークな音がどんどん出てこれるようになった。
技術的な革新のおかげで、面白いことをしてる人たちが芽をつまれることなく世に出れるようになってきたと思う。日本の音楽シーンも昔に比べれば、ずいぶん健全になった気がする。音楽ファンとしてはうれしい。最近、いろんな音楽が鳴ってるもんね。
「弱者を食い物にする」
それが音楽というアートの世界で起こっていることが、この上なく悲しい。
純粋に生きる人が踏みつけられるような世界。
だからこんなにもビーバーの音楽が響くんだね。
最近、毎日ビーバーを聴いている。
自分のなかにある「まっすぐなもの」「純粋なもの」を呼び覚ましてくれるような音楽。
守ってくれるような音楽。
渋谷さんのまっすぐな声が好きだ。
「都会のラクダ」を読んで、まっすぐな音楽をつくる人たちは、やっぱりまっすぐなんだと
深く納得した。
でももっと早く売れれてもよかったよね。もう10年も前に、
「世界が目を覚ますのなら」っていう最高のアルバムを発表してたのに。
売れる、売れないって何なんだろね。
「なんであんなのが」っていうのが売れたりもするし。
とにかくビーバーに出会えてよかった☺✨
私の人生を豊かにしてくれた。
最高の音楽をありがとう✨✨
これからもよろしく💗
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