フジファブリックの「若者のすべて」を聴いてはらはらと泣いた。
音楽を聴いてこんな風になくのは久しぶりのことだった。
名曲。
フジファブリック、いいバンドだよね。
jpopというより和製ロック。60年代から続くロックの流れを汲みながら、日本語で見事にそれを表現している。ロックの真髄ともいえるものを感じる。
「最後の花火に今年もなったな。何年経っても思い出してしまうな。
ないかな。ないよね。きっとね。いないよな。
会ったら言えるかな。
まぶた閉じて思い浮かべているよ」
せつない。
きっと大切なあの子のことを思って、花火を見ながら
「もしかしたら会えるかも」
「今、会ったら言えるかも」・・・胸の奥にしまい込んだ大切な思いを。
花火の人だかりのなかにあの子を探して、いろいろ思いだして・・
そして「最後の花火」になったとき何かが強烈に胸に迫る。
そんな歌詞だと思う。
何かが終わるってせつないよね。始まりがあれば終わりがある。
当たり前のことだけど、すべてが終わりに向かって進んでいることを思い知らされるというか。
終わったときに気づくことがある。
花火が終わったとき。
もう見れないんだなぁって淋しくなる。
もっとちゃんと観ればよかったとか、もっと写真を撮っとけばよかったとか。
終わったときに人はいろいろ思いを馳せて後悔したりする。
美しい花火。夢中でみつめていて、何か奇跡が起こるんじゃないかって期待して。あの子がもしかしたらいるんじゃないか。もしかしたら話せるんじゃないか。言葉にできなかったことを今なら言えるんじゃないか。
そんなときめきがこの曲から伝わってくる。
一瞬を愛おしむこと。
終わりを知って浮かびあがる真実。
それが「若者のすべて」なのかなぁ。
この一瞬を生きるエネルギーの凄まじさ。
その一瞬をこんな風に音楽に閉じ込めて、こんなにもその情景が音からあふれだす。
こんなにも胸に迫ってくる。すごいなぁ。
感嘆。
何ていうか今流行っている音楽に「根無し草感」を感じることがある。ふっと現代に種をもって咲いているというか。過去や歴史とのつながりを感じないというか。それこそが「今風」で今の若者に刺さる音楽なのだろうけど。でも私は60年代、70年代・・90年代・・と過去の音楽とのつながりを感じられる音楽が好き。その系譜で響いている音楽が好き。
フジファブリックはそういう音楽だと思う。
終わりって大切だよね。終わりから学ぶものがたくさんある。
そういう意味でも私は年末年始を大切にしています。終わりと始まりがセットで明確に味わえる不思議な時期。
特に年末のせつない感じには思うことが毎年、多々ある。
フジファブリックのボーカルの志村さんは29歳で急逝した。
こんないい曲をかく人が・・・って思った。
今、生きていること。当たり前じゃないよね。
終わりがあるからこそ、この一瞬がきらめく。この一瞬を大切にできる。
終わりがあるから今が輝く。
メメント・モリー「死を思え」。好きな言葉。
終わりを意識するとき、きっとすべてが変わる。
いたずらに死を恐れる必要もない、ということもわかってくる。
「死をみつめること」
「終わりを意識すること」
そこから私は多くのことを学んできたから。
大切なことが日常にかき消されそうになったとき、名曲がきらめきをくれる。
ありがとう💙
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