小さなひとつ(詩)

誕生日。ひとり静かに過ごした。

不意に不思議な心地におそわれた。


私の体は宙に持ち上げられ、この世界を離れたところから見下ろす

「私はいつか死ぬ」

生まれた日にそのことを有り有りとつかむ

私の得たいすべてが、私の手の届く距離に丁寧に並べられる

「すべてはここにある」

すべてがそうささやく


私は永遠を呼吸する

この刹那に永遠があること

そのことを感じとる深い充足感が 私の体を満たす


大海原のざわめきと共にすべての命が歌う

月明りのもと 生きるものたち

その鼓動

この瞬間に奏でられる交響曲


私もそのひとつ

小さなひとつ

そのひとつということが嬉しい


私はいつか帰る

私が来た場所へ

「どこ」

それは私の胸のなかにある


もうすでに手にしている

「すべての答え」

答えはすでに ここに並べられている

手を伸ばせば届くところに


だから何も怖がらなくていい

私は生きている

それだけでいい


「有る」ということのなかに

すでにすべてが存在しているから


地球の喧騒を離れて 静寂の宇宙にただずむ

星たちはすべてを知っている

この地上のいざこざや悲哀、憎しみ、怠惰

すべてを包みこんで 空から優しく微笑む


この世界は光に満ちている

そのことを知っていたい

そのことに気づいていたい

星たちのように

微笑みながら この世界を生きていたい


いつか「さよなら」するとき

やっぱり涙するだろう

この星を愛していたと

心から愛していたと

「愛しい」

その心に満たされて

私はこの星を去るだろう


私の得たいすべてに囲まれて







リリカ エメラルド

Lylica Emerald シンガーソングライター Lylicaのオフィシャルサイトです ブログ→https://ameblo.jp/cocoania twitter(X)→@Lylica_Emerald instagram→lylica_emerald