面白かった。
人智の及ばないもの。神秘的なもの。
そこにアクセスしようとした作品だと思う。
「神」と呼べるような人間の手におえない何か。
でも実はそこには人間も介在しているのではないか。
人間はただ神々の為すことを黙って見ているだけの存在ではないんじゃないか。
それがこの作品の大事なテーマだったと思う。
地震。まさに人間の力の及ばない現象。
なぜ、いつ、どこで起きるのか。人間にはわからない。
そして突然やってきて、たくさんの人の命を一瞬にして奪ってしまう。
この世界のもろさ。はかなさ。
次の瞬間、何が起きるかわからないという現実のなかで私たちは生きている。
そのことを思った。
この世界の裏側で起こっていることにも思いを馳せた。
この映画で描かれたような人間の知らない、人間には見えない
科学的には説明のつかない、いわば「神の領域」にあるような力学が
この世界で働いているのではないか。
人の「生き死に」はまさにそれで、本質的には不可思議としか言いようがない。
生まれるときに起こるエネルギー。死ぬときに起こるエネルギー。
人の生死と宇宙とのリンク。
そういうものがあるとするなら、科学で解明できるはずがない。
自然を科学でコントロールしようとしてきた人類。
でもそれをあざ笑うかのように、自然は人間の言うことなんて聞いてくれない。
21世紀になっても世界中で天変地異は後を絶たない。
科学が逆に地球温暖化をもたらし、たくさんの人を苦しめている。
そこには人間の傲慢がある。自然への慢心がある。
この作品は「自然を畏怖する」という昔の人々の感覚から描かれたと思う。
でも「救おうとする力」にはやっぱり希望を持ちたい。
「救おうとする力」にこの世界は呼応してくれるのではないか、と希望を持ちたい。
この作品で猫が最後に応えてくれたように。
「生きている」という奇跡。魔法。
それが胸に迫ってくるような作品だった。
そう。私たちは魔法のなかにいる。いつか解ける魔法のなかにいる。
「生きる」ことに対して謙虚でありたいって感じた。
0コメント